小倉 肇 (2007年09月号)
我が心今決しけり鵙高音(高浜虚子)
鵙は百舌とも表現する。雀をひとまわり大きくしたほどで、さほど大きな鳥ではないが猛鳥である。嘴は鋭く、先の部分が尖り曲がっている。
蛙や蜥を捕食するが喰べきれない時は木枝の先に突き刺しておく習性がある。いわゆる鵙の贄である。
啼き声は高音でよく通る。秋晴れの早朝にキイ・キイと断続的に発するその声は周辺の空気を裂くような厳しさと寂しさがある。
鵙は留鳥で三重でも全県的に棲息している。
冒頭の句は近代俳句の巨人・ホトトギス派の祖・高浜虚子の「句日記」に収められた作品であるが、何か鬱々とした想いに捉われていた作者が、突如あたりの静寂を破って響き渡ってきた鵙の啼き声に、はっと雑念を払われる心境を得た一瞬が、読む者の胸に共感を持って伝わってくる名句である。